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「おかしな国のおかし屋さん」はかわいいだけが魅力じゃない!

・はじめに

 アイドルマスターシンデレラガールズに登場するアイドルの一人、三村かな子ちゃんのソロ2曲目である「おかしな国のおかし屋さん」。様々な童話が入り混じった「おかしな国」で繰り広げられる、ちょっと「おかしな」物語が描かれたこの曲。一見するとファンタジックな世界観がとってもかわいい曲ですが、ただそれだけではなく、かな子のこれまでのアイドルとしての道のりや、パーソナルな部分がギュッと詰め込まれた曲だと個人的には思っています。そういったこの曲のさらなる魅力を少しでも多くの人に知ってもらいたいと思い、今回筆を取りました。あくまで私個人の解釈ですが、お付き合いいただければ幸いです。

 

・かな子の物語について

 まずこの曲を語る上で欠かせないのが「かな子が今まで歩いてきた道のり」です。私の中のかな子の物語を大雑把に書くと、Pがかな子をスカウトし、プロデュースの魔法をかけ、Pに支えられながらも不安を乗り越えた末に、みんなを幸せにする甘い魔法をかけるアイドルとなり、そして「魔法使い」から甘い夢をいっしょに叶える「パートナー」となったPと共にこれからも歩いてく、といった感じです。

 始めPはかな子にとって「魔法使い」でしたが、アイドルとして成長し、甘い魔法をかける存在となることで、かな子自身も「魔法使い」となります。それと同時にPとの絆も深まり、そしてPとは魔法使い同士、甘い夢を叶えるための「パートナー」の関係になり、それからも2人で歩いて行く、そんな物語だと私は思っています。

 

・この曲の物語について

 この曲の物語はお菓子屋さんの娘がメレンゲうさぎに出会うところから始まります。ここでメレンゲうさぎは王子が目を覚まさず、起こすためには「あま~いキス」が必要だと言い、娘を非日常へと誘います。これはかな子をスカウトし、「アイドル」という非日常へと誘ったPと同じ存在、つまりメレンゲうさぎ=Pということになります。「最初のお客さん」というところも「最初のファン」であるPと繋がりますね。

 メレンゲうさぎのこの言葉を受けて娘は「とりあえずあま~いお菓子作っちゃおう」とタルトを作り始めます。非日常に身を投じてどうすればいいかわからない!といった状況でも、「とりあえず」こういった行動に出るのは、どんなときでも自然体でいるかな子らしさを感じます。それでもやっぱり「あまいキスだなんてわたしできない」と不安にはなります。だけどなぜだか「ドキドキ」が止まりません。これは変わらない日常を変えたかったかな子の、アイドルの世界に踏み出したときの「期待」や「不安」の描写だと思います。また作っているタルトの焼く前の姿を見て「未熟なわたしみたい」と言っていますが、これはアイドルへの一歩を踏み出したものの、レッスンやお仕事がなかなかうまくいかない始めのころのかな子の姿を表したものだと思いました。

 ここで再びメレンゲうさぎが登場しこう言います。「あれあれ、ガラス砂糖の靴がない!王子の大切なものなのに…」これに対して娘は「わたしが作り直すわ!」と今度は自信満々に答えます。さすがお菓子屋さんを開いている娘ですね。そしてここでは彼女の住む家である「お菓子の家」が登場します。「わたがしのベッド」や「はちみつのお風呂」といった描写がこの曲の世界観をグッと引き立てていますね。さてこの「お菓子の家」という単語ですが、実はデレステSSR[ホワイトウィッチ]の特訓エピソードでも登場しています。そこでかな子はこのお菓子の家を「究極のもの」と称しています。だから「夢」のマイホームなんですね。つまりこの「お菓子の家」は、かな子の「大好き」や「幸せ」、「夢」や「憧れ」といった彼女のキラキラした内面を象徴するものだと思います。

 そしてお菓子の家からガラス砂糖でできた窓を外し、家を出ますが、ここで娘は「お気に入りのわたしのヒール」をお手本にして「ガラス砂糖の靴」を作り始めます。童話「シンデレラ」での「ガラスの靴」はヒロインが舞踏会に赴くために、魔女が魔法で作り出したものですが、この物語の中では、娘が自らそのガラス(砂糖)の靴を作り出します。これはかな子がプロデュースの魔法で作り出されたガラスの靴ではなく、アイドルとしての努力を重ねていった結果、自分にぴったりの履き慣れた「自分の靴」でステージに立つまでの過程を表していると思います。つまりかな子がPに背中を押されながら、みんなを幸せにする甘い魔法をかけるアイドルになっていく姿ですね。その過程でかな子はどんどん煌めくアイドルの世界を知っていき、彼女自身も輝いていきます。「トキメキがあふれるガラス砂糖の靴」のフレーズにはそんな胸の高鳴りが表れています。一方、この後の歌詞では「あまいお菓子みたいにわたし心もデコレーションしたら勇気を出せるかしら」と娘は言います。そんな不安なときに背中を押してくれるのはPが用意した素敵な衣装や楽曲、Pの言葉、そして何より自分を信じる心です。

 さてさてそうこうしているうちにタルトがおいしそうに焼きあがりました。あとはカスタードクリームやレモンでデコレーションし、レモンタルトの完成です。焼く前の未熟だったタルトの姿はもうありません。そして娘がこのタルトを味見しようとしたとき、ふとした拍子に食べかけのタルトが王子の口唇に落ちてしまいます。大変!わたしったらなんてこと!しかしここで奇跡が起き、まるで魔法のように王子様は目を覚まします。目を覚ました王子は娘に言いました。「よかったらこのガラス砂糖の靴を履いてみてくれませんか?」娘が靴に足を通すとなんとぴったり!こうして王子様と娘は幸せに暮らしました。めでたし、めでたし。でもちょっと待って、自分のヒールをお手本にして作った靴なんだから、そりゃぴったりだよね。そんなちょっと「おかしな」物語でした。ちゃんちゃん。

 とまあここまで書けば明白かと思いますが、焼き上がり、デコレーションされたレモンタルトが、履き慣れた「自分の靴」でステージに立つ「アイドル」となったかな子、王子を目覚めさせたタルトの起こした奇跡こそがアイドルとなったかな子のかける甘い魔法を表していると思います。そして娘は王子様の「パートナー」となりますが、「アイドル」となり「魔法使い」なったかな子も、同じ「魔法使い」であるPと「パートナー」になり、これからも甘い夢を叶えるために共に歩んでいきます。つまり王子様=Pということです。

 というわけで、この曲に登場する「メレンゲうさぎ」がかな子をスカウトし非日常に誘った「魔法使い」のP、「王子様」がかな子と魔法使い同士の「パートナー」となったPといった感じに、この2人のキャラクターは同一人物だということになります。おそらくなんらかの力で眠らされてしまった王子がメレンゲうさぎとなり、自分を目覚めさせてくれる人を探しているうちにお菓子屋さんの娘と出会い、物語が始まった、といった感じでしょうか。これも街でアイドルをスカウトしようとしていたときにかな子と出会ったPの構図に当てはまります。もしかすると、「ガラス砂糖の靴」も元々存在せず王子が娘を試したのかもしれませんね。

 また物語中にメレンゲうさぎが娘を導くために行ったことは、「きっかけ」を与えることだけでした。これもPがかな子の背中を少し押してあげることで、かな子自身が努力を重ねて成長していったことと似ています。かな子自身は、アイドルになれたのはPさんのプロデュースの魔法のおかげと言いますが、彼女の成長の大きな要因は彼女自身の努力の賜物だと思っています。これに関して、デレステでの「パステルピンクな恋」のイベントコミュの中で小早川紗枝ちゃんも「それまでに時間はかかるかもしれないけど、きっかけがあったら、魔法にかかったら強い子」といった評価をしているので、ぜひ見てみてください。

 このようにこの曲はおかしな国で起こったちょっとおかしな物語が描かれていると同時に、かな子のパーソナルな部分や、Pと共に歩んだアイドルとしての道のりが描かれた曲であり、彼女の「これまで」があったからこそ歌える曲だと思います。

 

・むかーしむかしのお話

 さてこの物語に登場する「お菓子屋さんの娘」ですが、自分の作ったタルト、つまり「お菓子」を使って偶然ではあるものの王子様を目覚めさせ、幸せにしました。これは「ガラス砂糖の靴」といったようなかなり高度なお菓子も自信満々に作ることができる彼女の一流のお菓子作りの腕があったからこそだと思います。ここでアイドルになる前のかな子も、手作りのお菓子を配りたくさんの人を笑顔に、幸せにしていました。それでもかな子はみんなを幸せにしているのは自分ではなくお菓子だと思っていて、だからずっと「なんの取り柄もない」と言っていたのだと思っています。そんなかな子に対して、この曲の娘は「あなたはずっとむかしからみんなを幸せにしていたんだよ」と言ってあげているような気がします。「アイドル」となり「お菓子」を食べたときみたいな幸せな気持ちになる甘い「魔法」を使う存在になるずっと前から、「魔法」を込めた「お菓子」でみんなを幸せにしていたんだよ、と。このように、自分自身の過去を「何の取り柄もない」のではなく、「ちょっとだけ特別な存在」だと認めてあげることで、現在のかな子のさらなる成長や自信への布石となり、そんなメッセージも込められている曲だと思いました。

 

・終わりに

 ここまで長々と書いてしまいましたが読んでいただきありがとうございました!この曲はかな子の「甘い魔法」や「甘い夢」そのものを具現化したような幸せな世界観だけでも十分に魅力な曲だと思います。ですが、かな子がショコラ・ティアラと共に歩んだこれまでの道のりがあったからこそ歌うことのできる曲であり、そしてライブでは最高に幸せな「かな子の世界」を展開することのできる最強の武器だと思っています。まさにソロ2曲目に相応しい曲ですね。また今回の大坪さんのかな子としての歌声は、これまでよりも更に表情が豊かで、歌っているかな子やキャラクター達の表情、身振り手振りがスッと目に浮かびました。この曲がここまで魅力的なのも、大坪さんの役者としての業があるからこそであり、その中に、大坪さんがかな子といっしょに歩んだ4年間の道のりも感じました。そしてここまでかな子を紐解き、その要素を存分に詰め込んだ楽曲を生み出してくださった佐藤貴文さん、Mitsuさんにも本当にありがとうの気持ちしかありません。

 そんな「おかしな国のおかし屋さん」ですが、早くライブで披露されることを心待ちにしています。またこの記事からこの曲の魅力をちょっとでも知り、そしてかな子のことを知るきっかけとなり、少しでも多くの方が彼女のファンになっていただければ本望です。

 またこの曲のフラゲ日に書き殴って発売日に投稿したわりと荒めな考察もここに置いておこうと思います→(http://www.twitlonger.com/show/n_1sp2eck)さらにこの曲とショコラ・ティアラの関係性など、まだまだ書きたくてもまとまっていないこともあるので、後日記事にしてみたいと思っています。

 

たくさんの人が彼女の甘い魔法で幸せになりますように…